あでぃすでぃす

一つ文章を書くたびに寿命と社会的評価が削れていくおブログです。

おそれいったよ

春なので、新しいことにチャレンジしようという気分になっている。これくらいの年になってくると、ついつい"開拓"という言葉に対して億劫になり、"新規"だの"挑戦"だのといった単語に恐怖を覚えてしまう…なんて言っていてはダメなのだ。人類たるもの、いつでもチャレンジャーの気持ちを忘れず、常に新しいものに触れ、己の引き出しと経験値を増やしていかないといけない。

 

そんな気持ちで、手のひらサイズの"新しい"を探した短編集です。

 

先週、人生で初めて『洋麺屋 五右衛門』に行った。正確に表現すると「行ったるぞ!」という意志で行ったわけではなく、偶然の流れでの初五右衛門だったわけだが、とにかく、数十年間その存在を知りながら行ったことの無かった五右衛門に、初めて行った。
感動した。やっちまったなって思った。こんなに素晴らしいお店を「なんとなくアレ」という低レベルな感情でスルーし続けていたなんて、これまでの人生どれだけ損してたんだよ、ってくらい衝撃を受けた。いや、別に五右衛門が地球上で一番美味しいとかそういうつもりではない。ごくごく自分の身近にあって、さしたるハードルもなく、無限に接触するチャンスがありながらスルーしていた物事の中に、こんなに良いモノが隠れていたなんて!その事実に対する衝撃なのだ。
最初に行ったのは旅行中、4月8日の日曜日。梅田の阪急32番街店だったが、帰京して12日には昼に会社からわざわざ電車に乗って聖蹟桜ヶ丘店に行き、同日の夜に退勤後わざわざバスに乗って国立店に行った。この日は2食五右衛門。ていうか朝ごはん食べてないから食事の100%が五右衛門。15日には稲城店に行った。初五右衛門から1週間で3食。この文章を書いている今日は立川店に行こうと思っている。都内全店制覇か、全メニュー制覇、どちらが先か。間違いなく私の人生に『五右衛門』という新たなファクターが加わった。私の人生が1つアップデートされた瞬間である。多分、すぐにマイブームは沈静化し、数ある外食の選択肢の中の1つに落ち着くわけだが、それでいいのだ。0と1は全く違うものだから。

 

『ドクターペッパー』も飲んでみた。小学生や中学生の頃から「マズい飲み物」の代名詞として有名だったアレである。マズいんだから買わないし飲まないというのは賢明、というか当たり前の判断ではあるが、考えてみると、それはあくまでも他者の評価、伝聞としての「マズい」に過ぎない。それもドクターペッパーがマズいというのが話題になったのはせいぜい学生の頃までだ。大人の味覚なら違うかもしれない。そもそもそんなマズい飲み物が何十年もこの世に生き残ってるはずがない。こういった一つ一つの気付きが、人生の幅を広げていくのだ。偶然にも自宅から徒歩40秒の自販機にドクターペッパーが売っている。これも神の導きに違いない。
くっっっっっっっっっっっっっっっっそマズかった。ビックリした。本当にマズかった。いよいよ分からない。いや分かった。こういう意味での"感動"と"衝撃"を与えるために、この世に存在しているのだドクターペッパーは。杏仁豆腐の汁から旨みと甘みを取り除いた後、化学的な悪意を注入したような味がした。味もヒドいが、飲み下した後の後味はさらにヒドい。口の中から全身に気持ち悪さが駆け巡っていくような感じ。350ml缶を消費するのに1時間以上掛かった。捨てなかったのは褒めてほしい。飲み終わってから6時間くらい気分が悪かった。
しかし、これで私の中でのドクターペッパーが「マズいと言われている飲み物」から「マズい飲み物」に変わった。伝承の中でしか知らなかった伝説を自らの体験にしたのである。これは大きな進歩だ。大インターネット時代の今、ほとんどの物事は事前に評判を得たり、疑似体験出来るようになったし、それこそ実際には行ったことも見たことも触れたこともない対象をまるで当事者のように評論したり批判したり出来るようになった。しかし、実際に自分の体で得たものは、全く違うのだ。今なら自信を持って、「ドクターペッパーはマズい」と高らかに主張することが出来る。

 

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あとは、『催眠音声』というものにも手を出してみた。まあ『催眠音声』と言っても方向性とか効用とか何とか色々種類がある(らしい)のだが、まあその中でも『催眠オナニー』と説明されるような、聴いていると催眠状態になって気持ちよくなって~みたいなアレである。これもまさに、自らの意志でチャレンジしようとしない限り、一般的な人生からは縁遠いジャンルの1つであろう。本当は、そんな過激な方面にチャレンジするつもりはなかった。みんな大好きDLsite.comに「音声・音楽」ってタブがあるだろう。当初の考えとしては、以前に誰かが「良き」と言っていたのを小耳に挟んだことのある『耳かきボイス』とか、ちょっとエッチなボイスドラマ的なやつを試してみようと思っていたのだ。ところが、「音声・音楽」のランキングを開いてバーっと眺めていたところ、何故だかピンときてしまったのだ。催眠音声というジャンルに。
とはいえ、催眠なんてそう簡単に掛かるものではないだろう。エロ同人じゃあるまいし。せいぜい何やかんや「催眠」という"シチュエーション"のエロくて楽しい音声作品であって、本当に催眠に掛かるような人間は本当に感受性が豊かな一握りの選ばれた人間だけ。私が購入したのは2017年の年間ランキング上位に君臨していた某作品だが、そこのレビューに
「時代が時代なら逮捕されてもおかしくはないような音声」
と書いてあって、さすがに笑った。なに言ってんの。そんな有害な音声に満点を付けて絶賛するんじゃないよ。この界隈、相当ヤバい人間の集まりなんじゃないか。もう決済しちゃったけど、これは特殊な資質がないと無理な世界なのでは…。

 

で、完璧に掛かった。
いや、スゲーわ。ビックリした。本当に恐れ入った。過去数年間でトップレベルに感動した。それは凄まじい快感を得たことに対する感動じゃなくて、言うなれば、生まれて初めて海を見た時とか、生まれて初めて野球場に行った時とか、知らなかった世界が突然ブワっと広がる、そういう感動。「こんなことが可能なの?人類にこんな技術と世界が芽生えていたの?」という、感動というか、感心というか、感嘆?ああ、感嘆が一番近い気がする。
「時代が時代なら逮捕されてもおかしくはないような音声」
嘘じゃねぇ。むしろ、200年前くらい過去にタイムスリップしてこの技術を使ったら、宗教で国一つ興せるんじゃないかってくらいすごかった。ていうか、エロに使うだけならいいけど、聴いた人間に危害を加えるような使い方も出来るのでは…と本気で不安になる。とにかく、これでまた人生の幅が広がった。『催眠音声』という概念をこの身で理解することとなった。ついでに、これも稀に聞いたことがあったけど、私の人生とは絶対に関係の無い単語だろうなと思っていた『ドライオーガズム』という概念も理解してしまった。特にここで『ドライオーガズム』とか『マルチプルオーガズム』という単語に関する説明はしないが、まあそういうことだ。

 

…でもさ、こういうのって、ある程度の"共犯関係"は必要だよね。だって、これを聴く人は、お金を払って自分の意思で聴いてるわけだから、「言う通りにするから気持ちよくしてくれよ~」みたいな姿勢で臨むわけじゃん。「右腕の力が抜けていきます~」って言われて「あぁん!?そんなわけあるかい!?俺は屈さんぞゴルァ!!」って腕をブンブン振り回すような人はお呼びじゃないんですよ。実際動かせるし。でも、実際動かせるけど「なるほどね、力抜いてリラックスしててねってことですね」くらいの寛容さを見せて、催眠に掛かるというよりも指示に従う感じで進めないと。音声サイドの意図と、自分の意図とで、一緒にムードを作り上げていくということなんですね。多少面倒くさいなって思う時間帯もあるし。やっぱ、ある程度話が進んでいい感じになってきても、それを俯瞰的に眺めている自分もいるわけで。「あー、はいはい。そういう感じでいくのね」みたいな。「なるほど、その手で来ましたか」みたいな。「こっちもちゃんと協力してあげないと無駄になっちゃいますもんね。分かります!」みたいに、楽しんでる自分と理性的に眺めている自分を共存させておいて「ふーん、こんなもんなんだなー」って。

…とか余裕こいてたら、突然、完璧に肉体も精神も自由が効かなくなったんですよね。陳腐な表現ですけど、あるタイミングを超えた瞬間から全身をマリオネットみたいに糸で繋がれたような。いや、それだったら体だけだけど、脳にも糸を繋がれてる状況。その時、私の中の理性くんが「あっコレはダメになったわ」って察したのを覚えてます。今までこの状況を俯瞰してた自分の理性が、ちょっと上から目線で見てたつもりだったのに、一気に宇宙空間まで吹っ飛ばされて「え?マジ?ぅゎー!ぇー!ぉーぃ!」って塵となって消えていく感じ。でも、そこからは、まあ完全に全てを任せたので、「気持ち良かった。」としか表現するしか、ない。もちろんその前までもエッチなパートとかはあったし、面白かったけども、あの瞬間の後からは全く何もかもが違った。
後から考えると、全然理性を保ててると思ってた時間帯から、着実に準備は進められていたってことなんでしょう。怖い。暗示怖い。催眠の手法とかは全然知らないけど、これって相当な知識と技術と構成力が必要なはずだし、いいのか、こんなものをエロの道具として1000円で売ってて。

 


ということでマジでヤバい長文を書いてしまった『催眠音声』

www.dlsite.com

って作品でございます。もう、察せよ。ヒプノでマルチでレイプだそうですよ。宣伝じゃないしリンクを叩いても広告収入とかは発生しないから、あとは、自分の目で確かめてくれ。

目で確かめてくれっていうのは、作品紹介ページを見て「うっわぁ…」って思って引き返してくれってことだからね。耳で確かめるんじゃないぞ!ってことだよ。でも、ここまでの文章はなるべく今後聴く人の妨げにならないように内容には触れないようにしていますので…


…はっ!今、正気に戻ったんですけど、どうやら無意識下に「聴き終わったらこの作品のレビューをしろ」という暗示が掛けられていたみたいです。最後まで手のひらで踊らされていたとは…催眠音声侮り難し…!

 

 

 

えーと、では今回のまとめですが、まさか桐生つかさ社長と高森藍子ちゃんみたいな導入文から、このような、久々に「一つ文章を書くたびに寿命と社会的評価が削れていくおブログです。」という弊ブログの理念を体現した文章が繰り出されるとは思わなかったと思いますけど、みんな五右衛門とドクターペッパーの段落で脱落して、ここまで一人も辿り着いてないといいな、と思います。今回は以上です。