広島県の呉にやってきた。くれ。
前日の和歌山観光から大阪発広島行の夜行バスで移動し、夜に控えるマツダスタジアムでの野球観戦まで合間のプチ観光である。
『この世界の片隅に』の舞台だったり、艦これの影響で提督たちに人気だったり、ゆるキャラだか何だか分からない「呉」そのまんまの何者かが踊っていたりする、良い街だ。
しかし、呉に降り立つ前から、いや、旅行の予定を立てている途中から、
「せっかく呉に行くけど、多分何も出来ねぇ…」
ということは分かっていた。
何故なら、呉の観光施設とか、飲食店とか、もう大体が軒並み「火曜定休」だからだ。調べていた最初こそ「あっ大和ミュージアムは火曜が休みなのか…」などと、いちいちガッカリしていたが、調べているうちに気付いた。コレは…呉全体が足並みを揃えて火曜日を休みにしているのだと。火曜日は観光客を排除するように示し合わせているのだと。しかも、観光スポットだけじゃなくて飲食店も火曜定休ばっかり。火曜日に呉に降り立ったら飢えて死ぬのではないかという懸念すら出てきた。
確かに、観光施設にも休みは必要だ。年中無休で頑張るのは世界遺産か大都市かだけでいいだろう。そして、休館日は週明けの平日、月曜日や火曜日が望ましいに決まっている。
しかし!私のような月火が休みの人間は「週明けだし観光客こないだろ。休も休も」という考えに苦しめられて…!いや、慣れてるんでもういいっす。
という訳で、ゴーストタウンと化した(※市民の方々はいるのでゴーストタウンではない)呉に降り立ったものの、1歩目から予定が無い。何もかもが休みで観光プランが立たないのでブチ切れて思考を放棄し、「まあ当日の自分に機転を利かせて動いてもらうか」と未来へ全てを丸投げしたからである。
呉到着はAM8:30。広島への移動はPM14:00頃を予定している。果たして…?
困ったので、とりあえず『この世界の片隅に』の聖地巡礼でもするか~と思って入船山公園の方へ向かってみた。
これが…!『この世界の片隅に』に出てきた病院の階段…!あれね!すずと晴美が入院してるじいちゃんを見舞いに行ったときの…!ああ!はいはい!なるほど!
…なるほど。なるほどとしか言えないし、正直「聖地巡礼で全ての時間を消費するのはキツい」と思ってしまった。サブクエストとしてはいいけど、メインに据えるには厳しい気がするぞ聖地巡礼。本当に好きなアニメとかゲームならいいけど、『この世界の片隅に』は何となくで2回観ただけだし…。
…ということで再び路頭に迷い、とりあえず駅に戻るか…と歩き始めたところ、
あ、休館日だ。入船山記念館。事前に調べたので知ってたけど、実際に見たらちょっとウケた。ホンマに休んでますなぁ~って。ネットで「休館日」って調べるのと、実際に目の前で門が閉まってるのを見届けるのは、やっぱり違う。実体験って大事。
少し歩いたら呉市立美術館もあった。休館日だけど。またのお越しをお待ちされてもね…いかんせん遠いんですよね…。
…それにしても、改めて休館の看板を眺めていると…これは貴重な状況である。
なにしろ、東京から和歌山経由で呉まで観光目的でやってきたのに、観光する場所がどこも閉まっているのだ。
まさか。
…もしかして、これこそが普通は体験できない観光の新機軸なのでは?(混乱中)
むしろ、閉まってる観光スポットを巡ることで呉のありのままの姿を捉えることが出来るのでは!?(かなり混乱中)
よっしゃ!かかってこい休館日!!全部踏破してやるぜ!!!(致命的に混乱中)
えー、この瞬間、本当に「休館日 火曜日」の看板を見つめながらこんなテンションになっていたので、ここからは呉市の主要な観光スポットを閉ざされた門、休館のお知らせとともに紹介したいと思います。
…まあ、この日はかなり暑かったのでこの時点で頭がやられていたのかもしれません。
呉の観光情報としては、ほとんど何の価値もありません。宜しくお願い致します。
とにかく、そういうことになったので、ここからは火曜日の呉の休みっぷりをお伝えします!
呉市立美術館の別館も「CLOSED」でした。そりゃ別館だけ開いてても困りますし。
ここまでは入船山近辺。一旦駅前まで戻って、今度は海側へ。なんか色々あって普段はワイワイ賑わっていると思われる呉の鉄板観光エリアだ!
駅からペデストリアンデッキを案内に沿って進んでいくと…
呉といえばココ!の大和ミュージアム!(人影が見えないんですけど?)
見事に休館日。火曜日アピールが甚だしい。
親切にも"火曜に開館している主な施設など"を教えてくれてるんですけど、裏を返せば火曜はだいたいどこも閉まってるってことでしょ。
よく見ると"丘"とか"島"とか"商店街"とか休館日の概念がない場所ばっかりだし…。
呉市の観光スポットって書いてあるけど、川尻とか音戸とか、全然遠い。浅草観光に来たのに吉祥寺の観光スポットを紹介されるくらい遠い。
大和ミュージアムに併設のお食事どころも閉まってる。おい、船長、笑うな。「火曜に来るとは何と無様な…」とでも言いたいのか。いや、これは自分の心の声か。
ちょっと待てよ。まだ午前中だし「もしかすると曜日の問題じゃなくて時間の問題なのでは?」と調べてみたら「定休日:火曜日(大和ミュージアムの休館日に準じます)」とのことでした。よっしゃ。この時点で「よっしゃココもちゃんと定休日だったぜ!」と手応えを感じる程度には頭がおかしくなってました。
大和ミュージアムのお向かい。てつのくじら館という愛称で有名な海上自衛隊呉資料館。金のプレートがかっこいいですね。しかも入館料が無料!素晴らしい!
うん。入れないんですけど。火曜日だから。
…しかし、ここまで色々な観光スポットを(門の前だけ)訪れているのに、(全部素通りなので)全然時間がたっていない。もしや…!?
施設が開いていると→
・入館料を取られるしお土産を買ってしまうかもしれないのでお金が減る…
・施設を見学するので当然時間が掛かる…
・施設を見学するのだから当然体力も消費する…
しかし、休館日だと→
・入場しないので無料!
・施設を見学しないので一瞬で終わる!
・素通りするだけなので疲れない!
つまり!金・時間・体力を全て温存できて全面的にお得なのでは!?
やはり休館日の街巡りこそ観光の新機軸…!!!!
…そんな訳はない。大和見たいでしょ。
で、この両施設の近くにはゆめタウン呉というショッピングモールがあったんですけど、
観光施設は全部閉まってるくせに市民にはやさしい。
土日も観光施設で働いてる人たちが、休みの火曜日に買い物してるんでしょうね。やっぱり街ぐるみで火曜日=そういう日にしてるんじゃないか。
隣のビルのお土産屋は閉鎖してました。市民には優しいけど、観光客にはお土産すら買わせない。いよいよ無理だ。もう終わりだ。(多分駅ビルとかなら開いてるんじゃないでしょうか。)
この一角に「ボートピア呉」もあったので、残りの時間全部競艇で潰すか~~~~~とも考えましたが、休館日コレクション以上に「無」の観光になってしまうので思いとどまりました。
しかしながら、本当に散歩するしか選択肢が無いので、今度は駅から北の市街地へ。
ちなみにこの日の呉は恐ろしいほど暑かったです。この記事の本筋とは関係ないので省きますが、ひたすら歩いてるだけだったので道中2回ほど熱中症で倒れかけました(報告終わり)。
これも本題とは関係ないんですけど、どういう界隈かが一瞬で分かる通りを発見。ただ、勝手な想像で申し訳ないけど麗しい女性はあまりいなさそうだなぁと思いました。
右にスナックビルの看板が移ってますけど、『終章』って店の名前としてヤバくないですか?どういう人がやっててどういう人が来るんでしょうね。
かわいい通りもありました。平仮名で"やよい"だとどうしてもアイマスの高槻やよいが思い浮かびますよね。
ちなみにこの通りもアレな通りでした。おおよそ高槻やよい感は無かった。もしも高槻やよいが出てきたら法律に引っ掛かるから…。
大和繋がりで宇宙戦艦ヤマトの松本零士先生の何か色々を取り扱っている『ヤマトギャラリー零』。もちろん休館日は毎週火曜日だ!
これはちょっと中に入りたかったんだぜ!
どうでもいいけど、上の看板の『くれしん芸術文化財団』、街かど市民ギャラリー90(くれ)の中にあって、しかもヤマトギャラリーの上にあるから「クレヨンしんちゃん」のギャラリーかな?と思っちゃいません?
…呉信用金庫とかそういうヤツですよね?ほんとにクレヨンしんちゃん芸術文化な訳はないよな…?
艦これの影響で間宮羊羹ってのが推されてたんだけどさ(これはさっきの閉まってたお土産屋の外の窓)
まあ買えないよね。
これは別に開いててもいいだろって思うんですけど。呉市民も間宮羊羹毎日食べたいでしょ?
そして、こんな感じで飲食店も火曜定休ばっかりなんですよ。何なんだもう。カレンダーの黒塗りが潔い。ゴールデンウィーク中の5月2日すら休んでるじゃん。
だからこそ、「店が開いている」という事実だけで感動しちゃうし、
やっとのことで食べることの出来たラーメンの美味いこと…!
はい。いかがでしたでしょうか。観光の新機軸。観光しない。入れない。歩くだけ。通るだけ。
いやもう皆様にはね、やはり今回の経験を踏まえて助言させて頂きますと、呉には火曜日以外に訪問することをお勧め致します。絶対その方が楽しいと思います。
もうひとつの学び:やっぱり聖地巡礼は休館日とか関係ないから良い。
さようなら。
夜に観たマツダの試合もアッサリ負けました。
さようなら。